名言これくしょん

漫画の名言中心に、グッときた言葉とあれこれ感じたことの備忘録です

まったく!!!! いい人生だった!!!!(『ワンピース』の名言)

『ワンピース』 尾田栄一郎
ジャンプコミックス 16巻 第145話「受け継がれる意志」


「まったく!!!! いい人生だった!!!!」

これは、
チョッパーの育ての親、Dr.ヒルルクの最期の言葉です。

長年の研究は実り、チョッパーは医師として歩み出し、
思い残すことがなかったから、こう言えたのでしょうか?

確かに、大きな気がかりは解決の糸口が見えましたが…
チョッパーはまだまだこれからだし、研究ももっと究められたはず。

思い残すことは、たくさんあったでしょう。


じゃあ、死を受け入れていたから?
でも、死を受け入れるって何? どういうこと?

もう死んでもいいや、と思うこととは全く別のものだとはわかります。
ヒルルクは、きっともっと生きていたかったと思います。


死線をさまよったことのない私には、残念ながらわかりません。


身近なところで参考になるとしたら、私の母のこと。


母が末期癌の病床についていた時、私に言いました。
「あの世って、どんなとこやと思う?」

どんなに病状を隠していても、カンのいい母はとっくに気づいていたんでしょう。
明日って晴れると思う? と訊くのと同じトーンで問う母に
私はとまどうばかりで、
「さあ…わからんなぁ」としか答えられませんでした。

すると母は、いたずらっぽくニッと笑って
「たぶん、めっちゃええとこやねんで」
と言いました。

「だって、行った人誰も帰って来んぐらいやもん」


闘病にやつれた姿で飛ばす冗談に、
私は上手に笑えたのか自信がありません。

この数日後、母は本当に帰って来なくなりました。
「ありがとうな」という言葉を遺して、逝きました。


母の最期の数ヶ月を思い返すと
「死を受け入れる」という言葉に近いのは
「覚悟」というような悲壮なものではなくて
「そういうもの」と笑える強さなのかもしれないな、と思います。


ヒルルクは「いい人生だった」と言ったのであって
「もうこれでいい」と言ったわけではありません。
だから、「覚悟」とか「悔いがない」とは、違うような気がするのです。

ヒルルクの「いい人生だった」の中には
たくさんの「ありがとう」が詰まっているように思います。
ドラムの人々、Dr.くれは、そしてチョッパーに向けて。

覚悟なんて、決まらない。
悔いも、いっぱいある。
だって、大切なもの、愛おしいもの、別れがたいものが
こんなにもたくさんあるのだから。

だからこそ、全くいい人生だった。


いろんな後悔だらけの人生だったとしても
万感の「ありがとう」を最期に言えるような生き方ならば
それは、いい人生なのかもしれません。

その答えは、まだ私にはわからないけれど。


ONE PIECE 16 (ジャンプ・コミックス)

ワンピース論語 ワンピースの名言100

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