名言これくしょん

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ぼくらは花のように意味を持ち、強く、強く生きよう(『きみのカケラ』の名言)

ぼくらは花のように意味を持ち、強く、強く生きよう

テーマ:マンガの名言

ずっと放置していたアメブロから
はてなブログに引っ越して3日で100PVを超えました。
読んで下さる方々に感謝してもしきれません。
ほんとうに、ありがとうございます。

では! 本日も名言を紹介しましょう。

 

きみのカケラ』 高橋しん
小学館 少年サンデーコミックス

5巻 第11章

※注意
以下、少しだけネタバレがあります


ドラマ化された『いい人』や、アニメ化された『最終兵器彼女』で有名な
高橋しん が描く、「生きる」ことの素晴らしさと切なさが胸に迫る物語です。

各巻の冒頭にあるナレーションには、こうあります。

このお話しは、2つのカケラの物語。
短い一生を 懸命に生きた 少年と少女の物語。


表題のセリフは、戦族(いくさぞく)の大佐・エリオットの言葉。
この物語の世界では、政治や産業の様々な役割は、氏族ごとに完全分業されています。
世界そのものが「滅び」を待つだけの時代という設定なのですが、
それでも様々な人々が、様々な方法で、「滅び」以外の道を探ろうとします。

エリオット大佐も、そうした1人。

ただし、彼のとった方法は、武力によるクーデターで王位と政権を簒奪し、
「破壊」によって状況を打破しようとする血なまぐさいものでした。


そんなエリオット大佐の少年時代を、
異母妹のエリザベス少佐が回想するシーンで
表題のセリフが出てくるのです。


まだ幼いエリザベスが、
大人たちの言うがまま、戦族として人を殺めることを教えられ、
そんな「いやな仕事」を引き受けて「頑張って」いても、
世界は滅んでしまう、何も報われないと泣きます。

エリオットは、妹に
「――花というものを知っているか? ベス」
と訊ねます。


この物語の世界では
太陽は失われ、暗く雪に閉ざされて、
普通に花を見ることはありません。
エリザベスも、当然知りませんでした。

エリオットも、図鑑でしか見たことがなく
大昔に滅びた
「見た目がきれいなだけの、かよわく役に立たぬ情けない生き物」
だと思っていました。

しかし、エリオットはある日、「耕族」と呼ばれる人々が
守り受け継いできた雪の下の農地を訪れ、
地下深く人口灯のもとで一面に咲く花を見るのです。

そしてそれが、イモやカボチャになることを知り
花というものの生命の輝きと力強さを感じます。


エリオットは、エリザベスに言いました。
(以下、中略あり)


ベス、ぼくたちは
がんばって早く大人になろう。
子供のままで死ねば
生きた意味はない…
生かされるだけに存在(いき)て
生きてると言えるか。
生きる意味をなさずに
生きのびるだけで
強く、
生きたと言えるか。

ぼくらは花のように意味を持ち、強く、強く生きよう

 

エリオット大佐は「無力」のまま生きることを「無意味」と感じて
力を求めるようになったのだろうな、と…
物語中ではやや悪役の大佐が、そんなふうに思いながら
たぶん、自分の力無さに胸を痛めながら、
大人になっていったんだな、と思わせる回想です。

 

花は、ただ優しく美しく咲いているように見えますが
実際は、害虫と戦い、細菌やカビと戦い、
生き残って「何か」を残すために、みっともなくあがいています。

花のように意味を持ち、強く、強く生きよう。

この回想シーンが描かれた章の後半、エリザベスとその部隊は
絶体絶命の危機に立たされます。
その時、軍人らしく堂々と自決しようと考えたエリザベスを
主人公の少女イコロが「まだ助かる」と押しとどめます。
ギリギリの可能性に賭けて、何とかしようとするイコロに
「往生際の悪いことするな!」と怒鳴るエリザベス。

その声に、イコロは、こう応えました。

「往生際が悪い…?
 あたり前でねェか…
 生きてんだ
 あたり前でねェか…」

 

時折「生きる意味を探しているけれど、見つからない」と
言う人を見かけますが。

意味なんて、今見つかってなくてもいいんじゃないですか?
もしかしたら、ずっと見つからないままかもしれないけれど
それでも、わからないまま生きても、別にいいんじゃないですか?

花も、意味があるから生きようとしているわけじゃない。

とにかく生きて、現実と戦って生き抜いて、
みっともなく、往生際悪く、あがいているんじゃないでしょうか。
そうやって生きた後に、花の意味が残るのではないでしょうか。

 

そんなこんなを長々と書きながら「きみのカケラ」を読み返して、

「大切」というのは「大いに切ない」と書くんだな、と
ふと気づきました。

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きみのカケラ」は、
1冊につき数回は涙腺決壊のピンチになる
ちょっと重たいところもあるお話しなんですが
とにかく絵が可愛い!
子供たちが元気!
機会があれば、ぜひ手に取って下さいね。

きみのカケラ 全9巻 完結セット (少年サンデーコミックス)