あきらめたらそこで試合終了だよ(『スラムダンク』の名言)
※注意
この記事にはネタバレがあります!
ジャンプ・コミックス「スラムダンク」8巻145頁より
『スラムダンク』の、あまりにも有名なセリフです。
中学生時代、バスケ部のエースであり、部を県大会優勝に導いて最優秀選手賞に輝いた三井寿(みついひさし)。
しかし彼は、県大会決勝戦ラスト12秒の時点で勝利をあきらめかけていました。
そしてボールを追って三井がコートの外に出た時、来賓席にいた湘北高校のバスケ部顧問・安西先生がボールを拾って、三井に渡しながら言った言葉――
それが
「最後まで・・・希望を捨てちゃいかん。
あきらめたら そこで試合終了だよ。」
この後、三井は最後の粘りでシュートを決め、逆転優勝するのです。
そして、安西先生のもとでバスケがしたいと思った三井は、他校の誘いを断って公立の湘北高校に入学します。
後に、三井はケガをきっかけにバスケ部を去り荒れた生活をするのですが、彼が目をそむけ続けていた「バスケがしたい」という自分の本当の気持ちを受け入れ吐露する時に、
「あきらめたら そこで試合終了だよ」
の場面がフラッシュバックとして描かれています。
あきらめれば、そこで終わる――
大多数の人は、この名言から「あきらめないことの大切さ」というメッセージを読み取ると思います。
しかし、これを夢や目標に置き換えて
「あきらめるのは良くないことだ、夢がかなうまで頑張り続けなくてはいけない」
と受け取ってしまうのは、どうでしょう?
私は、この解釈は違うと思うのです。
だってこれは「バスケの話」――つまり、時間制限があるのですから。
どんなに頑張っても、希望を捨てずにボールを追っても、終わりの時間は決まっています。
安西先生は「終わりがくること」を前提として「時間いっぱい」あきらめないように言っているのです。
世間には、いろんな夢や目標を持っている人がいます。
もし、それがかなう勝算が低いと判断したら、あるいはその夢を追うことで支払う代償が大きすぎると感じたら、夢や目標を終了させたり他のものに切り替えたりすることを、私はよくないことだとは思いません。
(少年漫画的には、大人のずるさみたいな感じでNGでしょうけど)
ただし、私が拍手を送るのは、この「終わり」のリミットを自分で決断した人だけです。
周りが・世間が・時代が、自分の夢をかなえさせてくれなかったからやめる、という人には賛同しません。
もっと続けたい、まだあきらめたくない、とジタバタする心に自ら引導を渡した人を、私は称賛したいと思います。
バスケと違って、人生では夢や目標にかける試合時間を自分で決めなくてはなりません。
でも、自ら試合終了のホイッスルを吹くまでは、力を尽くす。
Bump of chicken『グングニル』の歌詞にある
「夢の終わりは 彼が 拳を下げた時だけ」
にも通じるものがありますね。
あきらめないことは、大事。
でも、生きているうちには「きちんとやめる」ことが大事な場面もあります。
もしかしたら、それは「いつまでもあきらめない」ことより、ずっと苦しくて大変なことかもしれません。
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